【読書】独裁者プーチンと習近平は何を考えているのか 悪の枢軸 ロシア・中国の正体

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ロシアをよく知る産経新聞論説委員 斎藤 勉 氏と、中国をよく知る評論家 石 平 氏の対談。
プーチン ロシア大統領と習近平 中国国家主席の共通点や、目指していることがよく分かった。

 

どちらも巨大な国のトップ。
でもその中身は大国のトップとしてはふさわしくない、私利私欲にまみれ、今の権力を維持し続けたいだけの人だった。
国のトップとして、全く受け入れたくない人物像だ。

 

権力を維持するためには、強いリーダーであることを示し続けなくてはならない。
その手段として、外に敵を作り、そこを打ち負かす構図を常につくり出そうとしている。

 

ロシア国民の不満が強まる→戦争をやる(外に敵をつくる)→勝つ→国民の支持が高まる→選挙に勝てる、という方程式だ。
選挙に勝つため、また今の独裁体制を維持するために戦争をするという話はにわかには信じがたい。

 

習近平も台湾を中国に取り込むべく、台湾侵攻に向けて準備を進めていると、石平氏は語っている。
台湾侵攻する理由はプーチンと変わらない。
国内のさまざまな問題が深刻になったとき、そこから目をそらすために「祖国統一」という旗印を掲げて台湾侵攻する。

 

国のトップが自分の地位を守るため、多くの人を巻き込んで死人まで出して、戦争するというのは恐ろしい話だ。

 

ロシアではスターリンが、中国では毛沢東が今でも人気らしい。
理由は、強かったから、強力なリーダーシップを発揮したから。
本書によると、プーチンスターリンに、習近平毛沢東になりたいようだ。
スターリン毛沢東もすぐれた政治家だったのだろうか?いや違う。
ふたりともものすごく多くの人を殺している。
この二人もまた、敵を作り、その敵を倒すことで、自国の強さを示した。
自国の強さを誇示するため、人を殺すことをよしとする世界。恐ろしい世界だ。
そして、ふたりのことを尊敬する、現在の独裁者たち。

 

著者ふたりは、日本に関わる恐ろしい議論をしている。

石平  これまで見てきたように、プーチン政権というのは、どこかで戦争を仕掛けて勝ち続けないと存続できないですからね。ヨーロッパでどうにもならなければ、極東で何かやるしかありません。
斎藤  そして、極東で残っているのは日本だけです。
石平  要するに、日本はいきなり最前線に立たされてしまう。
斎藤  いま、日本は米中対立の最前線です。これにロシアがバックアップで加わるわけです。そうすると、あの金正恩が、さらに加わってきますよ。中ロ朝という悪の枢軸が束になって、今度はかかってくる。

日本に住んでいると、まさか、そんなことあるわけないと考える。
でも、ウクライナ侵攻を開始したプーチンや、台湾侵攻を企てる習近平のことを知ると、単なるもしも話ではなく思える。

 

スターリンになれなかったプーチン毛沢東になれなかった習近平
どんな理由でもかまわない。
ふたりとも失脚し、数年後、こんなタイトルの本が発行されることを願う。