おもしろい警察小説を読む前に読むまじめ本

公安警察

 

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警察組織で20年間働き、その後小説家として活躍する古野まほろ氏。
いわゆる中の人だった古野氏が、公安の現実を非常にまじめに解説している。
自身の経験と公知の事実を元とした情報で、なおかつ守秘義務の範囲は絶対に出さないというスタンス。
小説と本書ノンフィクションとのギャップはおもしろい。
フィクションで描かれる警察組織と、現実世界とのギャップは、残念でもあり、やっぱりそうかぁとも思う。

 

内容は、とにかく堅い。とにかくまじめ。
小説を読む気分で読んではいけない。
まじめ論調で、公安警察とは何か?を丁寧に解説している。

 

本書は大きく、解説と対談の2つのパートを繰り返す構成。
筆者自身も言っているが、解説のほうは特にかしこまった内容だ。
対談に関しても、フィクション世界の警察をことごとく無いと語っている。

著者  第二に、実に生々しい用語ですが「潜入捜査」。
      (中略)
      ただ私の知るかぎり……
      これ言っていいのかな……
      少なくとも私が現役だった時代だと、潜入捜査は「禁じ手」として実施されていませんでした。
      絶対的禁止。
      よって私も現役時代、そんなものを命じたこともなければ決したこともやらせたいと思ったこともないです。

まじめさ、堅さからは、警察の、公安の事実を知ることができ、本物の警察を知りたい人にとっては良いだろう。
ただ、警察にあこがれを抱いたり、カッコいい警察を求めている人にとっては失望の連続かもしれない。

 

辛い物を食べた後は、甘いものがより甘くなる。
おもしろい警察小説を読む前に、読んでみるのは良いかもしれない。