【読書】なぜこの国の防衛基盤はかくも脆弱なのか 日本の死角

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2023年度予算において、防衛費が過去最高の6兆8,219億円となった。
これに対して国内では多くの不満の声が挙がった。
なぜ防衛費にそんなにもお金がいるのだ。
日本は軍事国家への道を進むのか。
もっと社会福祉に充てるべきではないか。
子どものために使うべきではないか。
またも国債を発行するのか。

 

本書は、いわゆる「オレが考える最強の安全保障体制のつくり方」。
日本の自衛隊はどうあるべきかということを、様々な角度から述べている。
一つ一つが具体的で、なるほどと思うことも多く、雑学的な面ではおもしろい。
たとえばこんな話が書かれている。

 

・日本の道路は軍事車両の通行に不便なように作られている
・日本の鉄道は幅が狭く軍事輸送に適していない
・古くなった兵器はいざというときに使えるので、処分せずに取っておくこと

 

日本が北朝鮮や中国、ロシアからの攻撃を受けたとき、アメリは本当に助けてくれるのだろうか?
ゾクッとするようは話が書いてあった。

日本の某シンクタンクの研究員から聞いた話。

彼はアメリカ国防総省に研修に行った際に「尖閣諸島有事の際には、まず最初に自衛隊にまとまった数の戦死者が出ないと、米軍を派遣するというのは政治的に困難だ」と言われたそうです。

ウクライナ紛争を見ても、ウクライナの踏ん張りがなければ欧米の本格援助はなかったでしょう。

日米安保条約があるとはいえ、基本的に自分の国は自分で守る、その気構えがなければ、アメリカも助けてはくれません。

同盟国が同盟国を軍事援助するのは、援助した場合に勝ち目があると判断したときだけです。

 

これは怖ろしい話でもあるし、確かにそうかもしれないと考えさせられる話だ。
国と国の契約という意味では、アメリカは日本に何かあれば助けてくれるのだろう。
ただ、それがどのタイミングかというと、感情的な面が大きく影響する可能性はある。
しばらく様子を見て、ヨッコラショと腰を上げるかもしれない。

過去最高の6兆8,219億円のニュースを見たとき、世間と同じく私も不満を感じた一人だ。
でも、本書を読んで、確かに6兆円は必要なのかもしれないと思った。