【読書】熱くなれ 稲盛和夫 魂の瞬間

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2022年7月、大規模な通信障害を起こしたとしてKDDIの髙橋社長が緊急会見を行った。
この時の、自らが前面に立ち言葉を濁さず真摯に説明する髙橋社長に対して、評価する声が多かったのを覚えている。

 

本書には、その髙橋社長が2022年6月に稲盛氏とのエピソードを語ったインタビュー記事が載っている。
髙橋社長と稲盛氏の関係性を知り、あの会見の評価に妙な納得感を覚えた。
「あの会見は、イナモリイズムから生まれたものだった」
「稲盛氏の影響を受けた人だからこそ、あれだけ真摯に、自分の言葉で、世間に対してしっかりと説明できたのだ」と。

 

稲盛氏の行動や言動には「人間として正しいかどうか」が根底にある。
そこから、京セラフィロソフィーやJALフィロソフィー、経営12カ条などができている。
髙橋社長の会見には、その精神がしっかりと表れていたように思える。

 

本書では、これまでの稲盛氏の講演の内容や、関係者へのインタビューがまとめられている。
本書を読んで、改めて、稲盛氏とは人を大事にし、人間の本質で経営をしてきた人なのだなと思った。

 

「人」「心」「コンパ」などの言葉があちこちに出てくる。
特に、本書にはコンパの話が多い印象を受けた。
実際、稲盛氏はコンパを利用して、重要な人間関係を多く築いてきたのだと思う。

 

JAL再建に関して、日本航空株式会社 元取締役 副社長 藤田直志氏のインタビュー

そして6月に始まったのが、52人の役員を集めてのリーダー研修会でした。稲盛さんの講話が1時間、異なる部門のリーダーたちとのグループディスカッションが1時間、そしてコンパと呼ばれる意見共有する懇親会。これが、1ヵ月で17回も行われたんです。

 

コミュニケーションの重要ツールとして利用できたコンパも最近ではだいぶ変わってきている。
今の時代、飲み会をすると言っても、全員が参加しない飲み会が多くなった。
コロナ禍の影響で、飲み会に参加する人と参加しない人の区切りはよりはっきりしてきたように感じる。

 

このような状況を、稲盛氏は天国からどのように見ているだろう。