【読書】アマゾンに鉄道を作る 大成建設秘録 電気がないから幸せだった。

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地図に残る仕事。大成建設
筆者は、その大成建設が請け負った南米ボリビア鉄道建設に派遣として参画。
主には通訳を担っている。

 

鉄道建設の現場であるチョチスは1000人ほどの小さな村。
そこに300人を超えるプロジェクトメンバーが住み鉄道を作った2年間、村はにぎわったようだ。
ラテンの恋愛、労働組合ストライキ、コカイン、アマゾンの食などのテーマで、現場の様子や筆者の感想が語られている。

 

小さな村は、大勢の人が押し寄せたために、今までなかった文化が作られた。
ディスコや酒場が一軒、二軒と開かれ、テレビでビデオを上映する店ができ、しまいには売春宿までできたそうだ。
その変化について筆者は次のように語っている。

このチョチスでは、肉屋、酒場、ディスコを経営した者たちが、チャンスをものにした。
他の人間たちは、いままでなかった貧富の差に気が付き、貧乏になったと感じたのである。
貧困とか裕福というのは、絶対貧困(食住がない)でない限り、周りとの比較の問題でしかない。
貨幣経済がない場所に貨幣が入ると、その変化は顕著である。

 

貧困や裕福が、周りとの比較でしかないというのはなるほどと思った。
合わせて、貨幣が取り扱われたことで、変化が顕著になったというのも興味深い。

 

文明の利器とは必ずしも人を豊かにするものではないのかもしれない。
一見貧しそうに見える生活でも、その環境が普通なら人は不便に思わないし、貧しいとも思わないのだ。
ITで生活が便利になり、おいしいものを食べ、ふかふかの布団で寝ることが必ずしも幸せとは言えないのだろう。

 

そう考えると、人はどんなに豊かになっても、上を目指す限り豊かにはならないのかもしれない。
今に満足できたら、それが豊かということかもしれない。