【読書】ヴォロディミル・ゼレンスキー 喜劇役者から司令官になった男

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ゼレンスキー大統領って、コメディアンだったんだ!
全く知らなかった。
ロシアのウクライナ侵攻を機にテレビでよく見るようになったゼレンスキー大統領。
インターネットを通して各国に支援を呼びかける姿を見て、斬新ですごい人だなと思っていた。
あれは、コメディアンや大ヒットドラマを作った経験が活かされていることを初めて知った。

 

大統領選前に「戦争は私にはふさわしくない選択」「一にも二にもなすべきことは交渉です」とインタビューに答えている。
力ではなく感情で解決しようという、コメディアンらしいコメントだと思う。
ところが、2年後2021年の夏、大規模な軍事パレードを実施する。
そして、2022年2月ロシアのウクライナ侵攻。

 

約2年の間に、ゼレンスキー氏の考えにどのような変化があったのだろうか。

 

2019年末、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とドイツのアンゲラ・メンケル首相が、ウクライナとロシアの大統領を招いてのサミットを開催している。
そこでの一幕に、ゼレンスキー大統領の心境の変化のきっかけがあったように見えた。

この政界の新参者ゼレンスキーは、いくら対話を呼びかけ、国際社会の圧力をかけても、ウラジーミル・プーチンには一切通用しないことを理解した。いっぽうプーチンは、政敵ゼレンスキーに初めて激し憤りを覚えた。おそらく彼はゼレンスキーの粘り強さを甘く見、自分がゼレンスキーに突きつけた問題のむずかしさを軽視していたのである。

全く思うように動かないプーチンに対して、ゼレンスキーは苛立ちを覚えたのだろう。
逆もまたしかり。
ゼレンスキーが想定通りに譲歩しないことに対して、プーチンは力でねじ伏せようとする気持ちが強まったのではないか。

 

武力ではなく平和的な解決を。というのは常に言われていることである。
ロシアンのウクライナ侵攻までの流れを見ていると、平和的な解決を試みた形跡はある。
ただ、2つの国、もっと言うと2人の大統領がもっと歩み寄っていれば、そんなことにはならなかったのではないのかと思う。
本書(ゼレンスキーの立場)から見ると、プーチンがまったく譲歩していないように見える。

 

ビジネスの場において、最初から2社が合意できる状況というのはあまりない。
何かしら交渉があり、譲歩があって、ようやく落としどころが見つかるものだ。

 

ロシアとウクライナは譲歩しなかったことで戦争になった。
非常に残念なことだ。

 

今度、プーチンの立場からウクライナ侵攻を見てみたいと思った。
本を探してみよう。