【読書】池上彰の世界の見方 中南米 アメリカの裏庭と呼ばれる国々

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東京都立新宿高等学校で、筆者が行った授業をもとに、構成されている。
筆者と生徒との講義形式で書かれており、テレビで見るあの池上節が聞こえてくるようだった。

 

中南米の国々がテーマではあるが、それに絡めたアメリカの話も同じくらい多い。
むしろアメリカのことをしゃべりたいんじゃないかという印象さえある。

 

アメリカがかつて中南米の国々に対して行った圧力や侵略の歴史を多く解説している。
・テキサスをメキシコから奪い取ったアメリ
・独立したキューバを実質支配していたアメリ
パナマ運河を手に入れるために、パナマをコロンビアから独立させたアメリ
・1973年9月11日、チリの9・11はアメリカの手によって行われた

 

アメリカという国は、自分たちのためなら何でもやってきたんだなと思う。
トランプ前大統領は、アメリカ・ファーストを掲げていた。
なんて身勝手な…、と思っていたが、それは、かつてのアメリカそのものだったのだ。

 

そして現在。
ロシアがウクライナ侵攻をしている。
そのことをアメリカは批判している。
アメリカさん、あなたもかつては同じようなことをやっていたじゃないか」というメッセージが随所に見えた。

 

本書の後半、ブラジルとアルゼンチンに関して一章が割かれている。
ブラジル、アルゼンチンはかつて仲が悪かった。
1980年代になり、どちらも軍事政権が終わり、両国間で核協定が結ばれる。
それをきっかけにアルゼンチンとブラジルは良い関係になっていく。
画期的な取り組みとして、相手が約束を守っているかどうかを常に双方でチェックできる仕組みをつくったそうだ。
これを受け、次のように締めている。

戦争をしないために、民主主義っていうのはとても大事なことだなと改めて思うのです。
そして、隣り合っている仲が悪い国と、どうやって信頼関係を築いていくのか。
アルゼンチンとブラジルは、お互いが懸念することを互いにオープンにすることで、信頼関係を築けました。
その姿勢に学ぶことがあるのではないでしょうか。

 

単に歴史や地理を覚えることが勉強ではない。
そこから、今私たちができることを考えられるようになることが大事なのだと思う。