【読書】「移民国家」としての日本 共生への展望

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多くの外国人が働いている日本。
少子高齢化により労働力が不足している日本。
今後、日本が外国人をどのように受け入れて共生していくべきかが語られている。

 

2019年時点で、移民といえる人は日本に143万人いるそうだ。
観光客や短期労働者は除いた数で、日本にずっと住むつもりの人の数だ。
日本の全人口が1億2000万人として、約1%強の数となる。
けっこう多い。

 

働いている外国人という観点ではもっと多い。
厚生労働省が発表している情報によると、2020年の外国人雇用状況は172万人とのこと。
これは、日本の総就業者数約6700万人の3.2~3.4%にあたるそうだ。
たとえば、1000人の会社なら30人は外国人が働いている計算だ。

 

これらの数字が示す通り、外国人が働いているのを見る機会は多くなった。
その中には、日本が好きでずっと住みつづけたいと思っている人も多いだろう。
また、企業側の立場に立つと、優秀な外国人にはずっと働き続けてもらいたいところも多いはずだ。
このように考える人たちにとって、日本の法律や環境はまだまだ厳しいことをこの本は教えてくれる。

 

移民の統合というテーマにおいて、作者は次のように述べている。

「移民の統合」の政策として何が重要か。
それはヨーロッパ諸国から学ぶところが多く、ヨーロッパでは統合を進めるための政策として、成人への言語教育、所得再分配システムの強化、就業再研修、市民権(国籍)付与、第二世代の子どもの教育達成の支援、などが行われてきた。

言語教育、所得、市民権、国籍、第二世代の扱いなど、日本の法律で検討するべきところは多いようだ。
外国人が働くには、日本という国はまだまだ厳しい環境にある。

 

私は、外国人と共生が大事ではあるが、外国人を日本人に同化することを積極的に進める必要はないと思う。
外国人が日本で気持ちよく過ごせる法律があれば良いのだ。
それはもちろん日本人にとっても気持ちよく過ごせる世界であるはずだ。

 

日本で生活する外国人が理不尽な扱いを受けることなく、仕事ができる日本であってほしい。
そして、それを見た日本人が、妬むようなことのない日本であってほしい。