【読書】人事DXを超えた経営戦略としての人材活用 科学的人事の実践と進化

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会社の経営層に読んでほしい。
いち人事担当者が読んでも「理想的だなぁ」「こうなりたいなぁ」と思うだけで終わってしまいそうだ。
理解ある経営者に読んでいただき、人事改革をご検討いただきたい。
「企業は人なり」という経営者いても、本書にあるような人材採用や育成を行えている会社は、日本にはまだ多くないはずだ。

 

タイトルの「科学的人事」とは、ITを使って人材を見える化し、会社の資本として最大化することらしい。
科学的人事のデータ活用レベルとして次の3つのレベルがあると説明している。
・レベル1 見える化(人事基本情報、スキルなど)
・レベル2 分析・傾向把握(人員構成・推移の把握、スキルアップ分析など)
・レベル3 シミュレーション・予測・最適化(能力を活かした最適配置、離職予兆の把握など)

 

人材を活用できるようにするには、レベル2以上が必要となる。
にもかかわらず、レベル1さえも満足にできていない会社がほとんどなのではないだろうか。
私の勝手な想像だが、多くの会社で人事はアナログで、IT化が最も進んでいない部門の一つだ。
もし、想像通りなのであれば、レベル3は到底実施できない。

 

まずは、見える化
ただ、見える化だけをして満足してしまっているところも多いと想像する。
見える化をした上で、それを経営層とともに戦略的に使っていける人事がいる会社は将来の見通しが明るい。

 

本書では、人事DXとタレントマネジメントの違い、どのように科学的人事を進めるのかなど詳しく説明されている。
人事に限らず、チームマネージメントでも参考になる内容も多かった。

 

後半、筆者は次のように釘をさしている。

科学的人事がうまくいく会社とうまくいかない会社とでは、効率化に対する考え方が違う。

成功する企業は効率化を手段ととらえ、意思決定の高度化という最終的な目的を明確に見据えている。

一方、うまくいかない会社は効率化が目的となってしまっている。

効率化にふりまわされ、そこから先に進めない。

 

人事を単なる人の管理をする部門と捉えるか、会社を成長させるための大切な資本を作り育てる部門だととらえるか。
人事次第で会社は変わる。